平成二十年(二〇〇八年)八月六日(水)
(第二千五百六回)
◯この本は、ラミロ(ワンカール)の主著であり、
◯「タワンティンスーユ」とは、
日本人がインカ帝国と呼んでいる国のことである。
◯しかし、「インカ帝国」と言う呼び方は、誤りである。
◯タワンティン・スーユとはケチュア、アイマラ語で、四つの地方を意味する。
◯その領土は、現在は、エクアドル、ペルー、ボリビア。
そして、チリ、アルゼンチンの北部。
と成って居る。
◯今のボリビアは、このタワンティン・スーユの中の「コジャスーユ」のこと。
◯本書の日本語版への著者の序文には、
◯一九九一年十一月二十九日、
コジャスーユ、キチュアウ・マルカにて
◯と、記されてある。
◯「ケチュアウ・マルカ」とは、今のラパスのこと。
◯本書の日本語は、全訳に近い抄訳であるが、
◯巻末訳者解説、参考文献を含めて四百二十頁。
◯邦訳は、
「先住民族インカの抵抗五百年史」吉田秀穂訳、新泉社、一九九三年四月刊
初版一千部、定価五千二百円プラス税。
◯日本人は、今に至るまで
ボリビアを含む中南米のインディオ原住民は、西洋の侵略によって、とっくの
昔に滅亡寸前のあわれな敗者と、思い込んで居るであろう。
◯だから、一九九三年に、この邦訳本が出たけれどもまともに読んだ人はゼロ。
◯ではなかったか。
◯しかし、五千二百円プラス税
と言う高価なこの本は、一千部印刷されて、何年かすると、全部売れ切れた。
◯一体、誰が買って読んでのであろうか。
◯それは、中南米の専門家、
更に、文化人類学者、
更に、考古学者、歴史研究家など
最後に若干の図書館、大学の研究者、と言ったところか。
◯つまり、この邦訳本の存在もこの本の著者についても一般人はなんにも知らない
のである。
◯今の日本人は、ボリビアのインディオのことなど、
◯文化人類学者、考古学者にまかせておけば……
と思っているであろう。
◯ワンカール(ラミロ)は、本書を三部に分けて、
第一部 昨日、
第二部 今日、
第三部 明日
◯筆者は、本書をまともに真剣に読んだ日本人が一人でも存在するとは信じない。
◯訳者と、そして私(太田)を例外として、
◯筆者は、今、日本民族有志に対して、この本を、そして著者ワンカール(ラミロ)
を発見することを、改めて要請する。
(了)
【註】
◯ワンカール著、吉田秀穂訳、新泉社刊(絶版)
「先住民族インカの抵抗五百年史―タワンティンスーユの闘い」
一九九三年刊、定価五千二百円プラス税
この本は、絶版で古本も全く出ていないので、研究者のためにコピー本を
日本義塾出版部で取り扱っている、
一部四千円プラス送料。
◯タワンティンスーユ(いわゆるインカ帝国)は、
ケチュワ(ケスワ)人とアイマラ人との複合民族国家である。
ラミロは、「ケスワイマラ人」と言う。
|
Write a comment