平成二十年(二〇〇八年)七月二十一日(月) (第二千四百九十回)
◯小笠原孝次(一九〇三年=明治三十六年~一九八二年=昭和五十七年)先生。
◯小笠原孝次先生は、日本神道界、日本言霊学(ことたまのみち)の最高峰を 極めたひとである。
◯筆者は、小笠原先生の最晩年、ご逝去の二年ほど前に、二度、お会いして 直接、教えて頂いたことがある。
◯小笠原孝次先生の本質を以下の如く要約する。
(1)主観的シャーマニズム時代。 「シャマニズム」については、小笠原孝次著「言霊開眼」 (昭和五十五年刊)、六十三頁以下「シャマニズム」の項参照。
(2)敗戦直後。 昭和二十一年元旦の昭和天皇の神性放棄宣言の結果、神武天皇を初代 とするカムヤマト皇朝は消滅したとの境地に到達するまでの(敗戦後 二十数年)時代。
(3)言霊学(ことたまのみち)研鑽の時代。 その最高の発展段階は著者最後の著作「言霊開眼」 (昭和五十五年=一九八〇年)に公開されて居る。
◯以上、三つの発展の段階を経た。
◯小笠原孝次先生が逝去されたあと、その系統の継承者は存在しない。
◯それは何故か。
◯第2の段階が問題である。 ◯日本人、とりわけ、いはゆる保守派日本人、日本の神道界関係者は、敗戦後も ずっと、
◯明確に、昭和二十一年元旦を以て、
神武天皇を初代とする「カムヤマト皇朝」は、自滅した。 それは消滅した。 それは断絶した。 天皇は、存在しない。 天皇と自称するものはニセモノである。
◯と、確信を以て明言することが出来ない。
◯ここに問題がある。
◯小笠原先生は、敗戦後二十五年間の思想的苦闘を通じて、昭和三十五年前後、 その境地に到達された。
◯この第2段階をあいまいにし、それをなかったことにして、
◯第3段階に進もうとしても、それはダメだ。
◯小笠原説によれば、そもそも、日本の真実、日本の真面目は、 高天原(たかあまのはら)時代である。
◯神武天皇に始まる皇統(カムヤマトイワレヒコに始まる皇朝)、 これはニセモノの日本であるに過ぎない、とされる。
◯このことを明言しない者は、小笠原孝次先生の弟子、などではあり得ない。
◯「世界維新への進発」(昭和五十年刊)
◯これは、 昭和三十年代から昭和四十年代に至る、十数年に亘る小笠原先生の機関誌上 の論説を集大成した、これは、今、どうやっても入手出来ないきはめて貴重 な宝物である。
◯いやしくも小笠原孝次先生の思想に近付こうとするものにとって 必読の書である。
◯我々は、そのコピー本を希望者、研究者に配布している(一冊四千円)。
◯ところが、あるひとは「四千円」では予想を絶するほど高い、と言って、 注文を取り止める、と言う。
◯小笠原先生は、今の日本人のすべてにとって、価値はゼロであるだろう。
◯否、ゼロどころか マイナス無限大であるかも知れない。
◯筆者は、この状況が腐朽して腐臭を放つ現代日本では或る意味では歴史的 必然であることを良く、理解して居る。
◯筆者は、時機が来たら、「小笠原孝次先生著作全集」の編纂出版の企画を公表 して日本民族有志の協力を呼びかけたいと念じて居るが、
◯その時機はもう少し先と成るようである。
(了)
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