平成二十年(二〇〇八年)六月十三日(金) (第二千四百五十一回)
◯ブレジンスキーは、「セカンド・チャンス」(邦訳、徳間書店刊『ブッシュ が壊したアメリカ』)の中で、
一九八九年、ソ連共産世界崩壊後、 三代の米大統領(ブッシュ1、クリントン、ブッシュ2)、 二十年(ブッシュ1、四年。クリントン、八年。ブッシュ2、八年) の統治に対して、総括的な評価、と言うよりも酷評を与えた。
◯それでは、この二十年、ブレジンスキーは何をしていたのか?
◯この二十年(一九八九~二〇〇八年)。
◯日本では、もっぱら、ブレジンスキーは、 カーター米大統領(一九七七~一九八一年)の国家安全保障問題補佐官、 と言ふ肩書きで出て来る。
◯カーターが一期だけの大統領で終わり、
◯次にレーガン共和党政権時代に入る。
◯しかし、レーガンの副大統領はあのブッシュ(父、スカルアンドボーンズ) である。 ◯レーガン政権の実権は、ブッシュ(父)にある。
◯レーガンの二期(一九八一~一九八九年)と、 ブッシュ(父)の一期(一九八九~一九九三年)、 この十二年間、米国の権力中枢に、ブッシュ(父)が居た。
◯この間に、ブレジンスキーは何をして居たか。
◯ブレジンスキーは、米国政治に縁のない、学者、評論家、著述家であった と言う具合なイメージを、日本人は与えられたであろう。
◯しかし、この印象は、全く正しくない。
◯ブレジンスキーは、三極委員会の「創立者」の一人である。
◯三極委員会のもう一人の「創立者」は、デーヴィッド・ロックフェラーである。
◯三極委員会は、一九七二年の秘密の創立会議以降、まぎれもない米国政府の 「上部機関」の一つである。
◯ジョン・コールマン博士は、
◯三百人委員会を頂点とし、中核とし、最高司令部とする世界権力構造の概略図 を与えている(『新版300人委員会』、成甲書房、上下二巻、約七百二十頁、 七月一日刊)。
◯この世界権力構造図では、
(1)世界権力の実体としての三〇〇人委員会が頂点にあり、 (2)それに直結する参謀本部はRIIA(英国王室国際問題研究所) (3)その下に、タヴィストック研究所 (4)更にその下に、「ビルダーバーグ会議」「三極委員会」 と描かれて居る。
◯米国を含む各国政府は、ビルダーバーグ、三極委の下に位置する。
◯ビルダーバーグにも、三極委員会にも常設運営委員会のやうなものが存在する。
◯三百人委員会中枢が、下す、世界権力の決定は、RIIA、タヴィストック 研究所を通じて、ビルダーバーグ、三極委の運営中枢に伝達される。
◯ブレジンスキー、キッシンジャーは、過去四十年以上、 RIIA、タヴィストックから下される三百人委員会=世界権力の指令を ビルダーバーグ、三極委の頂点にあって受け取り、それを実行に移してきた 人物である。
◯このやうに評価して、始めて、
ブレジンスキーが、カーター政権時代に何をしたか。 カーター政権以後の、二十八年間、何をしたか、そして今、オバマを傀儡 として、何をしやうとして居るか。
この大問題に正しい解答と展望を与えることが出来るであろう。
(了)
【注】
◎ジョン・コールマン博士は、 「新版300人委員会」(成甲書房、七月一日刊予定、上下二巻、七百二十頁)
の中で、ブレジンスキーの「テクネトロニック時代」(一九七〇年。邦訳はあるが 長いこと絶版で入手は殆んど不可能であるが、英語原著の古本はアメリカで 入手することは不可能ではないだろう)を、300人委員会のアジェンダを暗示 する最重要文献として論評する。
Between Two Ages : America's Role in the Technetronic Era
◎なお、前出、テクネトロニック時代は、 「高度電子工学時代」と訳したい。
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